素敵やん。「夜のピクニック」を読了しました!

こんにちは!

徹夜はもう厳しい!non-noです!

昔は夜通しゲームとか、夜勤からの部活とかもやってたんですけどねえ。

もう体的に厳しい・・。

確実に人間年老いていくものですね。夜眠くて眠くて。私の場合、結構お昼寝とかもしたくなっちゃうので、寝すぎ問題はありますね。

 

さて、恩田陸さんの夜のピクニックを読了しましたので、本日はその感想を書いていこうと思います!

一言でいうなら、とても素敵な小説だったなと思います!

 

恩田陸さんは私はこれまであんまり読んだことがなかったんですよね。

で、この「夜のピクニック」も、

 

いやいやピクニックてww子どもが読む小説やんけww

 

と読まず嫌いしていましたが、なんと愚かなことだったでしょう!

想像は軽く超えてくる面白さがありました!

 

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修学旅行の夜の会話をずっと聞いてるような雰囲気!

 

総歩行距離80キロの高校独特のイベント、歩行祭に挑む貴子は、ある賭けを自分に課して朝8時から翌朝8時にまで及ぶこの歩行祭に臨んだ。

三年生であり、最後の歩行祭に臨んだ貴子の賭けとはいったい・・。

 

といった内容で、このあらすじを見た時も、

私(うっわー、甘ったるい恋愛系とか勘弁してくれや)

と完全に偏見の目を向けていましたww

しかし、やはり読まず嫌いはいけませんね!

読んでみたら、そもそも恋愛の話でもないという!いや、恋愛も絡むんですよ?

でもね、この物語の主軸はそこじゃないんですよね。

まずストーリーを話していくと、本当に何も起こらない!

だって高校生たちが24時間ぶっ続けで歩いてるだけですから。

それなのに面白いんです。

例えるなら、修学旅行の夜のテンションの会話をずっと聞かされている感じです。

ちょっと面白そうじゃないですか?笑

隠していた感情だったり、秘密だったりが徐々に明らかになっていく様とか、そういうのが全部受け入れられる様とか。実際作中のこの高校は修学旅行の代わりにこの歩行祭があるので、意識してることは間違いないと思うんですよね!

そういうのもあって、この作品、青春小説ってことになるんでしょうけど、決して若年層向けってわけじゃなくて、大人が読んでも面白い作品だと思いますね!

懐かしさを感じさせる雰囲気がありますから。どの世代が読んでもあまり違和感がないように仕上げている登場人物同士の会話とか、結構計算されてるなと思いますね。人物の設定も妙にリアルで、感情移入しやすいです。

 

舞台装置としての「夜のピクニック

 

で、物語の焦点は主人公の貴子と融の関係性ってところにずっと当たってるんですけど、それをうまく引き立てているサイドストーリーがなかなか見事。杏奈のエピソードとか、高見の存在とか、西校の女の子の話とかですね。

ただ歩いて会話しているだけっていうのに、なかなか読ませる物語になっています。

そして、「夜のピクニック」の名の通り、その一晩を越えていろいろな人物の心境に変化が出てきたり、自分の感情に素直になることができるようになっていることも見所の一つで、それぞれの心情や関係性を開いていくための舞台装置として、歩行祭という「夜のピクニック」が用いられていることもなかなか興味深い。

歩行祭のおかげで、今まで言えなかったことや自覚していなかった自分の気持ちと向き合うことができているわけですからね。

「みんなで夜歩く、それだけのことがどうしてこんなに特別なんだろう」

というのは作中の一節ですが、こういうことって皆さんにもありませんでしたか?

どうってことない経験が自分に変化をもたらしていたり、自分の気持ちが妙にすんなり腑に落ちたり。何気ない経験から何かが変わるってきっとみんな経験してるはず。

少なくとも若いころは。

ノスタルジックで人を引き寄せ、昔の心境とか、そこからの変化とかを見せてくれるこの青春小説は素直に素敵だなーと思いましたね!

 

ハイキング, トレイル, 山, 歩く, グループ, バックパック, 遠足

 

青春しないといけないのは彼らだけか

 

主人公の片方、融という人物は高3のくせに家庭環境のせいもあって大人ぶってて俯瞰で回りを見てるような達観した人物です。

そんな彼に友人の忍は今のうちにもっとぐちゃぐちゃになれ、とアドバイスを送ります。最初はその意味がよくわからなかった融。しかし、歩行の疲労や夜のテンションで思考が柔軟になり、その意味を理解します。

 

「今は今なんだと。今を未来のためだけに使うべきじゃないと。」

 

この一節が私は大好きなんですよね。

というか、これが彼がこの歩行祭を通して導き出した結論でもあり、この小説の主題でもあると思うんです。

同時にこれは若い人にだけ当てはまる言葉ではないと思うんですね。

目標を立てて、それに向かって一生懸命努力するとか、未来を想像してモチベーションに変えるとか。自己啓発が注目を浴びるようになって、みんなこういうことを言われることも多いと思うんです。

それは大いに結構。素晴らしいことだと思います。

でも、今は今なんです。未来のための今ですけども、それだけのために使うべきじゃない。

 

未来に主軸を置きすぎて、今をおざなりにしていませんか?

 

そんなメッセージが込められているような気がしてなりません。

青春は若い人だけの特権じゃないですよね!

先を見据えて自分を律し、より成熟した自分を目指すことも大事ですけども・・。

今の感情や、今だけしかできないこと、今だけしかわからないことにもう少し興味を持ってあげてもいいんじゃないかなと!

 

要するに自分にも相手にも、もう少し寛大になりましょうという話だと思うんですけど、これ伝わってますかねw

きっと「夜のピクニック」を読めばわかってもらえるはず!

若い世代だけでなく、大人の世代もぜひ読んでみて欲しい作品でした!

 

それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました!