読みやすミステリー!「長い長い殺人」を読んで。
こんにちは!
寒いです!non-noです!
そりゃあ先週は沖縄にいましたからね。比べるとそりゃあ寒い。
もうそろそろあったかくなってくる頃合いでしょうか!!
面白かったです!面白かったですが、もう一つ物足りなさを感じてしまったのも事実。
そのわけをお話していきます!
短編としての面白さが光る
「長い長い殺人」はそれぞれの人物の所有する財布が語り手を務めるという珍しい作品でもあります。
その筆致は独特ですし、財布それぞれの身の上や考え、個性もあってここは面白いです。そのうえで読みづらさがないので、ここは作者の宮部さんの技術が為せる技だなと思いますね!
で、それぞれの人物の財布に焦点をあてて、10個ほどの短編から物語を紡いでいくわけですが、その一つ一つを通して次第に保険金殺人の全貌が明らかになっていく様が本作の最大の見どころというか全体の流れなわけです。
まあこの手法は珍しくはないですけど、やっぱり面白いですよね。財布ならではの視点とかもあって、特徴もあります。
しかし私が注目したのは、一つ一つの短編の面白さです!
推理小説だと、短編を紡いでいく方式は伏線を張る→回収する、の伏線部分、回収部分に分かれがち。その結果、読んでて何にも謎が明かされないし、伏線っぽいの張ってんなー、で終わってしまう章があったりしますよね。
本作はそれが少ないです。短編一つ一つが面白くて、読み応えがあります。事件についてのことだけでなく、それに関連する人物の周りで起こる変化などを取り上げて、物語としてしっかり見せてくれます。
この短編の面白さがあるので、すらすら読み進めることができると思います!
半面、盛り上がってきたところで区切りがあったりするので、一気読みタイプではないかもしれません。
ミステリとしての素養
冒頭で述べた物足りない部分とは、ミステリーとしての素養の部分です。
言ってしまえばミステリーとしての奇抜性、特異性は皆無でしょう。
保険金殺人自体もよく取り扱われますし、犯人にしても意外性はないです。(ある意味では意外ですが)
そこからのもう一幕があるんじゃないの??とプロローグを読んで、あ、終わりなんだ・・。となってしまったのは私だけでしょうか??
それまでの一つ一つの短編が非常に面白かっただけに、それらが最後にまとまって、一本の線になり、大一番が待っている!!なんて展開を期待するのは求めすぎでしょうか?
まあ、つまるところ、本格ミステリを期待して読んだ私のミスかもしれませんが。
ミステリーというより、短編毎の人物の心情だったり、ハラハラする展開に楽しまされた部分が大きかった作品ですね。うん、エンタメ小説としては本当に面白かったと思う。
救いのなさこそが文学!
短編が面白い、とばかり言っていてもアレなので、一つ具体例を挙げてみます!
私が一番好きだったのは、事件の容疑者である、塚田和彦の親友である、宮崎先生の章です!
いやこれネタバレしそうなので詳しくは書けないですけど・・。
あの救いのなさがね。。。
救いのなさが文学なのよ・・・。
ああいう苦虫をかみつぶしたような終わり方、非常に好みです!笑
盲目に相手を信じる情熱と、冷静に事実を見つめる落ち着きのバランスが大切なんだけど、中途半端じゃあ何も得られない気はしますよね・・。
私は先生がとった方針と、その結果は無駄ではなかったと思います!
読んでない人には何一つ伝わりませんよね、これ笑
要するに、人を信じて、その結果裏切られたとしても、人を信じたことは美しいと言いたいわけです!相手からしたら軽い嘘だったとしても、自分にとっては真実だと。
滑稽だと他人に笑われても、自分の中に残った気持ちや変化は自分の中では真実なんです!!
もうこれ以上は本編を読んでくださいww
というわけで、「長い長い殺人」、面白かったですが、
「うおおおおおお!!!これは神作品だぜえええええ!!!」とまでは至りませんでした。でも最後のまとめさえ小さくまとまらず、どでかいことをしてくれたらそうなっていたかもしれません。
総評としては、非常に作家さんの技術が光る作品だったなというところでしょうか。
よくも悪くも綺麗にまとまっていると思います。なので読む人は選ばないでしょうね。
変わった語り口のくせに読みやすいという奇妙な感触は、ぜひいろいろな人に味わってみて欲しいですね!!!
ちなみに、次に読む作品はですね!
東野圭吾さんの「マスカレード・ホテル」です!
東野圭吾さんの作品は昔大量に読んでいましたが、新し目のモノは未読のまま。
6年ぶりくらいに読むことになるのかな??久しぶりに私のルーツに立ち返ってみたいと思います!ミステリーが足りねえぜ!
そちらのご感想も楽しみにお待ちいただければと思います!