ネタバレあり。「コンビニ人間」を読んでの感想。

こんにちは!

最近スポーツのことばかり書いていました!non-noです!

野球のプレミア12、サッカーは明日ワールドカップの2次予選があり。17日には東京五輪世代で臨むU-22の試合もあります!

うーむ、まさにスポーツの秋!

ですが待ってください!秋といえば、スポーツだけでなく、読書の秋でもありますよね!

というわけで今回は、最近私が読んで、「うーん、これはすごい!」とうなった一冊の感想を述べていきます。

タイトルにもありますが、ネタバレを含みますので、苦手な方はお気を付けくださいませ!!

 

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まずは概要から。

コンビニ人間は2016年に第155回芥川賞を受賞した作品で、著者は村田沙耶香さんです。

少し前に話題になっていた作品で、正直旬な作品というわけではないのですが、個人的にかなり面白かったので今回感想を書きたいと思いました。

36歳にしてコンビニでアルバイトして生計を立てる主人公、古倉恵子。独身でありながら、18年もの間ずっとコンビニでアルバイトを続ける姿に、周りは怪訝な目を向けていた。それでも、恵子にとってコンビニという場所だけが社会の歯車になり、正常な人間でいられる場所だった。そんな恵子の前に問題児の新人アルバイト、白羽が現れ・・。

 

というあらすじ。

 

一般論に?を抱く構造

 

まずはとにかく登場人物が面白いなと感じました。

リアルというだけでなく、頭の中で思ったことをポンポン口に出す人が多いなという印象。そういった人物が多いことで、普段我々が思っていても口にできないことをしっかり発言してくれる。まずその構造にすっきりとしたさわやかさを感じるのだが、それだけで終わらず、主人公・恵子の視点を通じて、「そりゃそうだよなww」といった感想から、「あれ?でも考えてみたら、なんでそれが当然なんだろう??」という疑問を抱くまでの道筋をしっかり用意してくれている、そんな印象です。

 

例えば印象に残っているのが、恵子の友人、ミホに誘われて同級生が集うバーベキューに行ったときのシーン。

 

みんなほとんど夫婦で参加しており、独身の女性は、集まった14、5人の中で恵子と友人のミキの2人だけだった。

おのおのに、子どもができたとか、転職したとか、近況を報告しあい、自然な流れで恵子が現状を広告する番になった。

 

「私はコンビニでアルバイトしてる。体が・・・。」

 

そう告げた恵子に周りは怪訝な目をはばからずに向ける。

友人の旦那さんは妖怪を見るような目で恵子を見ながら、「就職は難しくても、結婚くらい、した方がいい。」

という意見をずけずけと述べてくる。

さらには別の友人の旦那さんからも、

「このままじゃ駄目だろうし、焦ってるでしょ。正直?あんまり年齢言っちゃうとねえ。ほら、手遅れになるからさ」

と、これまた失礼極まりない一般論を浴びせられている。

一方の独身の友人、ミキは仕事柄海外に行くことも多く、稼ぎも並みの男よりもあるので、周囲を納得させている。

 

友人の旦那さんの意見、それなりに社会で生きてきた人間なら誰しも納得できるものではないでしょうか。(実際に口に出すかは別として。)

36歳、女性、独身、アルバイト。

この肩書だけで周囲からは異質にみられるというのは、当然のことですよね。

しかし、主人公の恵子は「コンビニ人間」ですので、嫌々アルバイトをしているわけではありません。自分の仕事を心底気に入っており、人生をささげるかの如く、真摯にアルバイトしているのです。

立ち位置としては、海外を駆け回るミキともそこまで変わるわけではないんです。

違いといえば、正社員かどうか、稼ぎが多いか少ないか、です。

よくよく考えれば、この恵子は、なにが「やばい」のでしょうか。

 

36歳であること?女性であること?独身であること?アルバイトであること?

 

そんな状態でも、天職としてコンビニを見つけている恵子が、「やばくない」とはなかなか言い切れないと思います。

登場人物の言葉に、一度納得させて、その後疑問を抱かせる。

納得を積み重ねながら、クエスチョンマークも所々で重なっていく・・。

そんな中、物語は新展開を迎えていきます。

 

白羽という人物

 

この作品のキーマンになるのが、この白羽という人物です。

30代の男性ですが、家族に借金を作り、起業をするすると言いながら、実際に行動は何もしていない。コンビニのアルバイトは婚活のためと言い切り、コンビニのバイトの同僚や、客にまで言い寄るというどうしようもない人物です。

ことあるごとに屁理屈をこねて、現実から目を背け続けるのですが、その理論にもどこか一理を感じてしまいます。

この白羽という人物は、他の人物とは逆の人物なんですよね。

他の人物は、先ほど述べた通り、「おおむね言っていることは理解できるが、どこかがひっかかる」のですが、白羽の場合は「言っていること、行動のほとんどは間違っているとわかるが、どこかで一理を感じる」という人物なんですよね。

異質でありながら、一般に迎合しようとしているのですが、それもできずに苦しんでいる人物というか。誰もが心の1%で考えていることを100%で表現した人物という感覚でしょうか。

結果異質の存在になっているのですが、きっと正常に生きていたかったのだろうなと。

主人公の恵子は、もう完全な異質。純度100%です。

だからこそ、一般論や社会の常識が間違っているなんて、考えることすらないんです。

その奇人ぶりをさらに鮮明にする対比人物でもありますし、現実にいる奇人はほとんどが白羽のような、つまはじき者でしかないし、それを実感している時点で常人であると言えるかなと思いました。

 

さてさて、この白羽と恵子が一体どうなっていくか。「コンビニ人間」の末路はどのようなものなのか。正常とは何か。比較的短い小説なのですが、いろいろな見所があり、単純にストーリーとして面白いです。

読んでいない人にはぜひおすすめしたいですし、読んでいる人とはぜひ意見を交わしたい作品ですね!

あまり長くなってもだらだらとしてしまいますので、今日のところはここまでにしておきますが、コメント欄なんかで意見をいただければとてもうれしいです!

感じ方が人それぞれ違う作品かもしれませんので、私でなくとも、誰かと感想をシェアしてみるといいですね!!

以前記事に書いたブックフレンドのすすめです!

もちろん、私ともいろいろな意見を酌み交わしてくだされば、とてもうれしいです!

 

それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました!